ストローク戦じゃないゴルフゲーム<後編>:よいセンパイとマッチプレーとポイントターニー(ステープルフォード)

コラム
2018.12.01

こにちは、リサオです(=゚-゚)ノ

 

自分にとって行きたくないのに行かざるをえない場所の筆頭は、歯医者と美容院。理由は椅子。歯医者の椅子も美容院のシャンプー椅子も腰が痛くなるのです。そういうひと、他にも結構いるはずなのに、あのカタチ、大昔から基本変わってないよね。美容院に関しては、数年前から自分で髪をカットするようになって問題解決。でも歯の治療はしないわけにいかない。だから歯医者では椅子を倒された瞬間に膝を曲げて引き寄せるようにしてる。これはでも、そういう格好で治療を受けてるひとを他に見たことないし、自分も以前の歯医者ではやってなかった。ようやく従順な日本人を卒業してツライことを我慢しなくなったのかしら。あとはきっと先生との相性。ずっと歯医者ジプシーだったんだけど、やっと納得のいく先生と出逢えたから。

 

その先生、ゴルフをするひとなんだけど、話を聞いたら、環境のせいで純粋にゴルフゲームを楽しむ機会を奪われていて、ゴルフ業界に身を置く者として、ほんとうに申し訳ない気持ちでいっぱいになった。で、そのことを『ゴルファーが増えないのはよろしくないセンパイのせい。スコアにこだわる環境のせい』と題して、ゴルフ用品界って業界誌に書いた。ゴルファーが増えないとか減ってるっていうけど、ゴルフをするひと全員が『よいセンパイ』になればいいだけなんです。ただ、中には、無意識に、悪気なく言ってることが『よろしくない』場合もあります。

 

たとえば何気なく「レディースティからでズルい」って言うとするでしょ。言われた本人、そう言われてそう思い込んで、ドライバーたいして飛ばないしパープレーでまわれるわけでもないのに必死にレギュラーティからラウンドするようになる。そうじゃなきゃ認めてもらえないと思い込まされてるから。誰かに、じゃなくて、自分が自分を認めればいいだけなのにね。

 

わたし自身もそうでした。常連だったあるコンペで、たまたまニアピン4個のうち3個とったら、「赤だから」「100yだから」って非難ゴウゴウ。文句言ってるのは全部おじさん。頑張ったのにズル扱い?って悔しかったけど当時はなにも言えなかった。今ならわかるけど、100yっていうのは万人にとっておんなじ100yじゃない。100って数字は絶対値じゃない。たとえば女子が100yを8番アイアンで打つとして、男子が持つのはPWとかでしょ。逆に8番アイアンなら男子は140〜150yぐらい飛ばす。参考になる数字っていうのは、残り距離じゃなくて、持つ番手の番号。同じ8番を持ったとして、その精度はどんなもんかしらね。150y毎回ビシっといける?って今なら内心そう思いながら完無視できる。けど、呪縛にとらわれて必死にやってるときはそうは思えなかった。でもなあ、あのとき、わーい!やったー!って素直に喜べなくてほんとに残念。だって今やっても8番でビシっと3個なんて簡単には取れないよ(笑)。

 

この話をして、好きなとこから好きにやりなよって言っても、それでも前のティーからラウンドすることに罪悪感を持つ女子もいる。何気ないひとことがどんだけの影響を与えるか。でも、そういう余計なこと言うひとって現行犯逮捕されなきゃわからないんだよね。これ読んでても自分のことだとは絶対に思わないだろうし。とりあえず人類全員、悪意なき無神経ほどひとを傷つけるものはないってことを頭に入れといていただきたい。あと、自分も昔は後輩だったってことを思い出してね。センパイによくしてもらったでしょ。よくしてもらってないってひとは反面教師になりましょう。センパイには重大な責任があるのです。ていうかさ、自分が好きで続けてるゴルフ、他のひとも好きになってくれたら純粋に嬉しいじゃん。愉快なゴルフ仲間が増えたら楽しいじゃん。どういうことなのか、読んでいただけたら幸甚。

 

 

この先生の例でいうと、
・メンバーがある程度決まっている(逃げ場がない。別の方法を知る由がない)
・連れていかれるのは名門コースばかり(気楽なゴルフを知らない)
・学校の先輩にいちいち指示される(嗚呼、体育会系)
・スコアよくならないから楽しくない(数えなくていいよー)
・2打目3打目もティーアップして打ちたいなあ(どうぞ!)
こんな感じ。

 

「マナーやこうあるべきっていうのを教えてもらえるのはありがたいこと。感謝してます」って言いながら困り顔してた。ああ、彼をKOSHIGAYA GOLF CLUBあたりに連れてって、2人乗りカートでフェアウェイに乗り入れて、スコアなんかつけないで、くだらない話ばっかりして、途中でスパムむすび食べて、のんびり楽しいゴルフを体験してもらいたいよー。せっかくゴルフ自体は嫌いじゃなさそうなのに。もったいない。くやしい。

 

海外でアメリカ人やカナダ人とラウンドしたとき、お互い「ナイスバーディ」「グッショ」的なことは言うけど、スコアがいくつとか言ったことも聞いたことも、もちろん聞かれたこともない。ビミョーなとこに飛んだショットには「ナイスショット」じゃなくて「ナイスゴルフスイング」みたいなことを言ってくれる。そしたらこっちも仏頂面じゃなくて、へへへって顔になれる。探せばなにかしら褒めるポイントは見つかるもんなんだ。見習います。ドライバーがてんで飛ばなくても「全部フェアウェイじゃん。どういうこと!おまえマッシーンなのか」。フェアウェイを外すと「ああよかった、人間だった笑」。初対面のひとでもこんな感じ。だからいつも楽しい。

 

日本だと、スコアつけないよって言ってるのに、毎ホール聞いてくるひとがいる。なんだろあれ、習慣性のものなのかな。あるいは打順の問題かな。わたしは打順は気にしないし、毎回最後でもなんでもいいけど、どうしても全員のスコアつけたいなら、こっちに聞かないで、ちゃんと自分で見てて数えてればいいと思う。それぞれのゴルフの楽しみかたがあるから、スコアつけるゴルフだってもちろんいいんです。大切なのは誰かに自分のやり方や考え方を押しつけないってこと。自分がつけたいならつける、どうでもいいひとは放っておく。そういう、多様性をぜーんぶ認めるココロを持ったら、自分のシッパイだって許せるようになって、ラクになります。ただ、センパイとして、多様性と選択肢があるってことは知っておくべきだし、後輩にもそれを伝えるべき。ゴルフには競技ゴルフと趣味のゴルフの二種類があるってこともね。右も左もわからない初心者のとき、たまたま教えてくれたひとの、もしかしたらまるで見当違いの価値観をそのまま継承しちゃったら、つらいゴルフになっちゃうもん。

 

そもそもゴルフってマッチプレーでやるものだった。前回書いたライダーカップもそうだけど、マッチプレーは闘う相手が同じ組にいる。戦略や駆け引き、心理戦の側面も大いにある。相手の短いパットを全部コンシード(OK)してもいいし、全部打たせてもいい。前者の場合、数ホール後にOKを出さなければ相手は短いパットを一度も打ってないわけだからプレッシャーがかかる。後者の場合はこんなの入るに決まってんだろっていちいちイライラして、いつかミスがでるかもしれない。いつもの『自分との闘い』『アンクルパーとの闘い』『コースとの闘い』と違って、相手がそこにいるほうが集中できたり思いがけないミラクルが起こったりするもんで、いろんな発見がある。プロのストローク戦でも最終日最終組はマッチプレーっぽいところがあるけど、マッチプレーのいいところは、ホール毎に決着がつくってところ。つまり、トリを打とうがダブルパー叩こうが関係ない。そのホールを取るか取られるかだけ。

 

今よりもっと下手なとき、遊びでダブルスのマッチプレーをやって、パターだけすごい役に立ったことがあって、それが自信に繋がった。わりと長いのが数回入ると、味方は安心してアプローチできるだろうし、相手側は「あんなの入れてくんの?」と思って寄せなきゃって思う。でも寄せなきゃって思うとどんどんアプローチっておかしくなる。で、自滅する。ふだんのストロークプレーとは違う緊張感と面白み。あと、自分の強みや極悪な性格を存分にいかせるのがいい。

 

よく、初心者にはスクランブル方式がいいよって言うけど、全員が同じところから打って、いいやつを選んでまた全員で打つっていう形式は、ある程度できる子のほうが楽しめる。自分だけじゃ経験できないイーグルトライもできるよ、と言われましても、あまりに活躍できないと逆効果で、えらく落ち込むもんなんです。しかもティーショットの回数ノルマがあるから、みんなに迷惑かけた、役立たずって思ってしまう。そこいくと、マッチプレーなら初心者でも火事場の馬鹿力みたいなことが起こりうるし、そしたらすっごい褒められるし、役に立ってる感も味わえる。そんでまたすぐゴルフやりてえー!って思う。だからオススメ。気の合う仲間とやってみたら面白いよ。実力が拮抗してる同士でもいいし、実力差があるならハンデをやりとりすればいい。とにかく、ニンゲン、集中したらどんだけの力が出せるか、よーくわかる。

 

マッチプレーのほかにも、みんなにオススメしたいのが、ポイントターニー形式。またの名をステープルフォード。簡単に言うと、ボギーよりよかったらポイントがもらえるシステム。たとえば、ボギー1点、パー2点、バーディ4点、イーグル8点、アルバトロス(夢のまた夢)16点って決めて、ポイントの合計を競う。ダボ以上を叩いてもただの0点。マイナスがないっていうのが精神的にとてもよろしいし、いくら大叩きしたって関係ないのが素晴らしい。しかも「今このボギーパットを入れれば1点プラス、外したところでバツはつかない」と思えば、決めなきゃいけないパットをしっかりと打てるようになる。ストローク数ではないけど、ちゃんと数字のよりどころがあるから、どーしても数を数えたいってひとにも最適なのです。

 

前に、初級者の女友達と遊んだとき、スコアを数えてはため息ついてるから、スコア数えないでやろうぜって言ったんだけど、『ゴルフ=スコアを数えるもの』って呪縛があるらしくなんとなく腑に落ちない表情だったので、このポイントターニーを提案してやってみた。そしたらなんと、PAR3ホールで、長い下りのパットを決めて人生初のバーディを獲得したのです!もんのすごい喜んでたし、わたしも超ハッピーだった。普通にスコアつけてるだけだったら、あの集中力と「絶対に届かせる」っていう気迫は出なかったよ。だから初級者や悩めるゴルファーこそ、騙されたと思ってストローク戦以外のプレーを選んでみてほしい。そのときの経験値が自信になるし、実際にストローク戦のときにいきるから。

 

わたしがもしコンペを主催するなら、ポイントターニー形式で、しかも『手は2回まで』っていう大会にします。どっかで必ず『手の5番』を2回使わなきゃいけない。バンカーが一番使いやすいだろうね。グリーン上は案外難しそう。ジョーカーをどこで使うか考えるのも楽しいよ。力自慢の男の子が、ちょっとした池越えで使おうとしたら、ゴルフボールって野球のボールと違うから、ちっさいから、だから野球のボールの感覚で投げるとイッパツで肩を壊すのでご注意ください。というようなことを朝のご挨拶のときに注意事項としてお伝えしようと思っています。って、まだ具体的じゃなく妄想してるだけなんだけど。

 

とにかく、どんなやりかたでも、競技ゴルフじゃない限り、一緒に遊ぶみんながよければいい。遊びのゴルフは堅苦しいもんじゃないんです。じゃんじゃん好きに遊びましょー。

著者

大隈 里砂(リサオ)

大隈 里砂(リサオ)

元インドア文学少女からの、遅咲き・狂い咲きゴルファー。フォトグラファーであり、イラストレーターでもあり、コラムニスト。アーティスト気質の視点は、一種独特の表現にゴルフ業界内でも多くのファンをもつ。その狂った?ゴルフへの愛情の一部をご紹介して行きます。

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